医療法人恭青会の医療関係者向け情報メール
電子版 慈育11号

日中は汗ばむほどの陽気となり、夏の近いことを実感する季節になりましたが、皆様にはお元気でお過ごしのことと存じます。

今回は「眼内注射と眼科疾患」のお話をさせていただきます。


医療法人恭青会
理事長 生野 恭司


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眼内注射と眼科疾患について

眼内注射は、ここ10年で登場した新しい眼科の治療法です。現時点では抗血管内皮増殖因子薬(抗VEGF薬)、もしくはステロイド懸濁液(トリアムシノロン)が保険適用で使用されています。眼内注射は、加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞性、糖尿病黄斑浮腫、脈絡膜新生血管など多くの網膜疾患が適用とされ、眼内の血管に作用し血管新生作用や、血管透過性亢進を是正します。

手技としては点眼麻酔の上、イソジンなどの消毒を結膜や眼瞼に行い、角膜の外側3.5mmの位置で眼内に注射します。注射針は通常27もしくは30Gが用いられます。注射時間は数秒ですが多少の痛みを伴うこともあります。何より目に注射するのはとても怖いので、なかなか慣れない人もいます。現在アイリーアとルセンティスが抗VGF薬として認可されていますが、今後様々なエージェントが開発され使用されるかもしれません。本法は網脈絡膜に強力な薬剤を届けることができるため、大きな期待が寄せられています。

注射の頻度は疾患や活動性によって大きく異なります。平均すると2ヶ月に1度程度が多いと思いますが、難治性加齢黄斑変性などでは毎月打つ場合や活動性の低い人近視性脈絡膜新生血管では再発の都度打つ場合もあり (PRNと呼びます)、この場合平均すると年に2回程度となります。1番の問題は、価格とその継続性です。薬価は15万円程度ですので3割負担だと毎回5万円前後が必要となります。またほとんどの疾患で離脱が困難です。薬剤が滞留するのはせいぜい2ヶ月程度で、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などの慢性疾患では、永遠に打たねばならない場合も多く、多くの国で保険財政を圧迫し、国によっては使用回数が制限されています。特に若い世代など3割負担で、毎月必要な場合などその負担は非常に多く、今後は投与間隔が長い薬剤も開発される予定です。

1番の合併症は化膿性眼内炎です。頻度としては数千分の1と言われていますが、生じると失明に至る可能性が高い恐ろしい合併症です。そのため術後1週間の間は、抗菌剤の点眼を行い予防に努めます。眼内炎症状は、かすみ・充血・目の痛みの三つです。このように眼内注射は効果もあり便利な反面いくつかの問題もあります。それらを理解して長い目で治療を行っていかねばなりません。


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